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Selfishly

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  ~The fun is the back 遊園地編・後編


スローライフt Pa 6

  ~The fun is the back ~《遊園地編・後編》
         サブタイトル →『おデート編』(K山様、可愛いネーミングをありがとう!)




注: このお話は、あくまでも番外編と言う事で!
   SRTシリーズとは、横道に逸れた作者の妄想ですので、
   『こんなロイエド、いやっー!』とか、『イメージ狂う~』の
   真っ当な皆さま、お許し下さい。んで、それでも許せる寛容な方のみ
   お先にお進み下さい。
   後編は、ベタベタ・甘甘、妄想炸裂ですので。





12月の冷たい空気に触れていると、ロイの体調も大分と浮上してきた。
まぁ本人にとっては、今の状態なら別に体調が戻らなくともOKだろうが。

浮かんでいた冷や汗を、まめに拭いてくれながら、心配そうな眼差しを
降り注いでくれている恋人の瞳に、こんな状況だと言うのに、
ロイは甚くご満悦な気分だ。
乗り物では、恋人らしい甘い一時は儚く散ったが、降りてみればこんな至福の時が得れるなら、
再度、あの苦行に耐え忍んでもいいかとさえ思う。

「なぁ・・・、だいぶ、調子良くなったか?」

辛そうな相手を気遣ってか、幾分低めに優しくかけられる言葉も、
大変、耳にも心にも、くすぐったい位気持ちが良い。

「あっ・・あ、 済まないね、折角楽しんでいたところを」

額に置かれていた手を取り、謝る気持ちを伝えるように握ると、
エドワードが小さく頭を振って、返事を返してくる。

「ううん、俺の方こそゴメン。 
 浮かれすぎてたみたいだ・・・。 あんたの様子も気づかないようじゃ、
 護衛は失格だよな・・・」

シュンと萎れている様子を目にすると、さすがにいつまでも仮病臭く寝ている場合ではないようだ。
ロイは、小さく礼を告げると、名残惜しいがエドワードの膝枕から起き上がり、
う~んと大きく伸びをする。

「大丈夫かよ!? 急に起き上がって、動いたりして」

慌てるエドワードの頭に、軽く手を置いて微笑む。

「大丈夫に決まってるだろ? 君に心配をかけるようでは、
 私のほうこそ、恋人失格だな」

優しく覗き込んでそう伝えると、その言葉に反応したエドワードがポッと頬を染める。
さっきまで、結構大胆な事をしていた癖に、日常が戻ると途端に恥ずかしさが
生まれてくるらしいから、そこがまた可愛い。

深くなる笑みを乗せたまま、肩に腕を回して引き寄せると、
咄嗟のロイの行動に驚いているエドワードの隙に、頬に小さなキスをする。

「なっ・・・!」

真っ赤になってうろたえている相手の耳に、優しい言葉を吹き込む。

「ここには休暇で来てるんだ。 君は護衛じゃなくて、恋人だろ?
 体調の悪くなった相手を心配してくれる、優しい連れ合いさ」

ウィンクしながら、茶目っ気一杯にそんな事を告げてくるロイに、
エドワードは呆れるやら、安堵するやらで、苦笑を返すしかない。

「全く・・・あんたは。 ちょっと、調子が良くなると、すぐにいつもに戻るんだよな。
 さっきまでの弱弱しい時のほうが、殊勝でまともなんじゃない?」

安堵の為、軽くなった気持ちが、エドワードの口調も軽くする。

「おやっ? 君は、さっきの私の方が好みだったのかい?
 なら早速、また乗りにでも行こうか?」

そんな事をしゃーしゃーと告げてくる相手に、エドワードは呆れ顔を浮かべる。
そして、プイッと顔を背けると、小さな声で。

「・・・別に、どっちのあんたでも好きなのに変わりない・・・」

と、ロイが瞬間茫然とするような言葉を贈ってくれる。
そして、受け取った素晴らしい贈り物に礼をするように、相手を引き寄せて、
その肩に頬を埋めて呟く。

「ありがとう。 そんな君だから、私は・・・。

 愛してるよ」

その言葉に、今度はエドワードが真っ赤になったまま硬直してしまう。
日中の日差しの中で、誰も気に留めてはいないだろうが、人目のある中で
そんな風に囁かれれば、免疫の薄いエドワードには堪ったものではない。
カチンコチンに固まっているエドワードを見て、一頻り慈愛の笑いを上げると、
横からは、非難の視線が送られる。
それも、余りに可愛かったので、ロイは音をたてて額に口付けを落とすと、
宥めるように背中を軽く叩く。

「さぁ、私の方は、もう大分といいんで、次の君が行きたい所へ行こうか?」

促すようにして立ち上がるロイに、エドワードが小さく驚いて目を瞠る。

「何言ってんだよ!? あんた乗り物酔いするんだぜ?
 これ以上、無理に決まってるじゃないか」

ムキになって言われてみれば、少々情けない言葉だな・・と今頃になって思う。

「別に全部が駄目って事でもないだろう? それに、また気分が悪くなれば
 君が介抱してくれるんだろ? なら、別に問題はないさ」

本当にそう思っているのが、晴れ晴れとしたロイの笑顔からもわかる、わかるが・・・。
暫し考え込んだ後、エドワードは「じゃあ」と切り出す。

「うん? どこがいい?」

そうやって、優しい顔で訊ね返してくれるロイに、エドワードも優しい笑みを送り返す。

「じゃあ、ホテルへ戻ろ? 暫くゆっくりして、夜のパレードを見に行く体力を養う!
 これなら、いいだろ?」

「しかし、それじゃぁ、君の楽しみが・・・」

躊躇うロイに、エドワードが首を振って見上げてくる。

「俺の楽しみは、乗り物に乗る事ばかりじゃないぜ?
 あんたと過ごせること、それが1番の目的なんだからな」

どうだ、とばかりに告げられた言葉に、ロイは心底驚かされる。
そんなロイの表情に、してやったりと満面の笑顔を浮かべている。

「そうか・・・。なら、私と同じだな。
 じゃあ、夜までゆっくりと過ごそうか」

思いやりあるエドワードの提案を、ロイも素直に受け取る。
そして、手を差し出すと、おずおずと差し出し返された手をしっかりと握って、
ホテルまでの道のりを、仲良く歩いて帰る。

周囲には、楽しそうにしている家族連れや、はしゃいでいる友人同士、
幸せそうなカップル達。
沢山の人達が、各々の時間を満喫している。
『ここは、本当に夢の楽園なのかも知れないな』 周囲に毒されたのか、
そんな埒もない思いが浮かんでくる。
軍にいれば上司と部下。
世間に出れば、後見人と庇護者。
二人の家の中で過ごすときだけが、ささやかな恋人時間を満喫できる日常を過ごしていた。
でも、ここに来てからのエドワードは、ロイの恋人以外の何者でもない表情を
惜しげもなく見せてくれる。
こんな贈り物がもらえるなら、もっと早くから、二人で出かけていても良かったなっと
少しだけ、惜しい気持ちがしてくる。
だからここに居る間は、ロイもうんと恋人らしく振舞おうと思う。
いつも前に立ち、常に先を進んでなくても、物分りの良い振りも捨てて、
我侭で、甘えたで、焼餅焼きの自分で、恋人を熱愛している一人の馬鹿な男でいいと。


急に戻ってきた二人を、ホテルのフロントが怪訝な表情で窺っている。
エドワードが簡単に体調不良で戻ってきた事を伝えると、大層心配してくれて
必要なものや、用意するものはないかと気を回してくれる。
それに休んでいれば直るからと、代わりに夜のパレードの時間と、
ディナーの予約を入れると、喜んでお薦めを教えてくれた。

さすがに園内のホテルだけあって、この時間は閑散としている。
忙しげに、けれど躾けの行き届いた物静かな動きを見せるスタッフ以外は、
ロビーから上がると、更に見えなくなる。
ロイとエドワードが総統から贈られた部屋は、豪華なファミリータイプの部屋だった。
家族で貸切って、遊園地を楽しもうとやってくる人達の為の部屋で、
部屋数も多いし、室内の設備も、簡易のキッチンも設備されていて、
普通のマンションのようだ。
まぁ、調度の良さや、室内装飾から、普通ではなく、裕福なとつけるべきかも知れない。

「なぁ、ロイ、来て見ろよ! 凄く眺めがいいぜ」

弾む声に振り返ると、バルコニーから熱心に展望を眺めている姿が目に入る。
昨夜遅くについた二人は、そのままベットに直行して、
朝方は寝坊したためか、バタバタと部屋を出て行ってしまったので、
ゆっくりと部屋の中や、眺めを楽しむゆとりもなかった。
まだ、覗いてない部屋もある位だ。

「どれ? ほぉー」

さすがに、ロイも感嘆の声が上がる。
眼下に広がる園内では、カラフルな建物や乗り物が、クルクルと色を変えて
楽しげに動いている。
そこに群がる人々の動きも、コミカルな表情を加えて、園内の活気を盛り立てている。
そして、その敷地を越え目に飛び込んでくるのは、国境境の森林と山並みだ。
自然の風景の中に溶け込んでいる夢の国。
例え仮初の楽園であったとしても、ここにいる間は、しばしの日常を忘れて
世間に雁字搦めの自分を解放してくれるようだ。

楽しそうに園内を眺めているエドワードの背から、抱きしめるようにして
ロイも眼下に広がる風景を楽しむ。

「けどさ、ロイって乗り物酔いするんだ?」

落ち着けば、素朴な疑問が浮かんできたのだろう。

「さぁ? 別に軍でいる間にも、そんな事はなかったと思うんだが・・・」

「だよなぁー、別にジープでも車でも乗ってたもんな。
 じゃあ、高速のものとかが合わなかったのかなー」

別に遊べなかったのが残念と思っているわけではないようだ。
どうやら、悪い癖の何でも追求・解明しなくては気が済まない性分が
頭をもたげているらしい。

「こらっ! 別に原因を追究しなくていいから。
 他所に考えを飛ばす暇があるなら、傍に居る私の事を考えて欲しいね」

コツンと顎で頭を突いてやれば、エドワードもはっとしたように気を戻してくる。

「・・あっ、ごめん。 どういう仕組みかなぁ~と思ってさ」

へへへと照れ笑いしながら、読まれていた思考を流す。

「・・・多分、天の配剤さ。 いつも傍に居れる時間をってね」

ロイは少し屈むと、冷えてきているエドワードの頬に温かな口付けを落とす。
そして、身体を抱きか抱えるようにして、温かな部屋の中へと連れて行く。
大人しく連れて行かれるうちに、エドワードが無言で睨んでくる。

「・・・ゆっくりするんだろ?」

「そう。 さっきまで体調が思わしくなかった私の為に、付き添ってくれるんだろ?」

その言葉に、エドワードはわざとらしい嘆息を付いてみせる。
『こんな嬉しそうな病人がいるかよ・・・ったく』

ニコニコと嬉しそうに・・・エドワードから言わせると、いやらしい・・・笑み満面で、
ロイが開けた扉の先には、出て行った後に綺麗にメイキングされたベットが見える。

リビングを横切る間に、さっさとコートは剥がされている。
しかも、腰に回っていた手が、いつの間にか、シャツまで掻い潜って来ているのだから
油断もすきもない。

「・・・体力温存できないじゃんか・・・」

照れ隠しに、少しだけ拗ねてそんな事を告げれば、

「大丈夫、 その分夕食で栄養をつければ、カロリーは十分補えるさ」

そう言う間にも、すでにシャツまではだけられている。
温かくしている室内だから、別段寒くは無いが、
自分だけと言うのも癪に障るので、まだジャケットも脱いでないロイの衣服に手をかける。
おやっ?と軽く目を瞠り、嬉しそうに表情を緩める相手に、

「休むんだろ? 服位脱げば?」

と、やり返してやる。
その言葉にも、相好を崩して、エドワードが脱がしやすいように動きを止める。

「君になら、身包み剥がれても、嬉しいね」

クスクスと笑いながら、一生懸命にロイの服を脱がせているエドワードの旋毛に
キスを降らしている。 どちらにせよ、じっと出来ない性分なのだ。

「甘えんな。 ほらよぉ」

上着だけ脱がせると、トンと肩を小突いて後ろに押してやる。
ロイもその動きに逆らう事無く倒れていく、エドワードも巻き込んで。
ゆっくりと倒れた先には、弾力抜群のマットが待ち構えており。
二人の体重を、容易く受け止めてくれる。

沈んだり浮かんだりしながら、シーツの海を散々二人で泳ぎまくり、
力尽きてシーツに二人して潜り込んで起きてみれば、予約していた食事の時間が迫って
大慌てで身支度を整えるハメになった。
当然、その日の夕方から予定していたパレードは、終わっていた。
罰が悪そうに見合う二人で、明日に予定変更をする事を誓い合って
空腹を満たすためにレストランへ行く。
使った体力を補ったカロリーが、その後温存できたのか、さらに消費されたのかは、
日が昇っても中々開かれない扉の中の二人にしか、わからない事だった。




あっと言う間の休暇は終わり、夢の楽園の門を潜り抜けると、
そこには甘い恋人同士の時間の終了を知らせてくる。

「さて、戻ろうか」

ほんの少しだけ名残りを胸に、ロイが歩き出すために声をかける。
エドワードは一瞬、後ろを振り返りそうになるが、軽く頭を振って、
自分を見つめてくれているロイを見返す。

「ああ、さっさと戻らないと、ホークアイ中佐が卒倒しかねないものな」

気持ちを切り替えて、これからの事を考える。
自分と弟は目的を果たしたが、今度はロイとロイの仲間、
そして自分も合わせた目的はこれからなのだ。

夢は一時、心を癒すためだけに見れればいい。
後は、しっかりと進むこの男の前だけを見据えていくのだ。

ゆっくりと遅れてきた贈り物は、気まぐれの贈り物だ。
それを期待するのではなく、いつか自分達で掴める様になるまで、
二人して歩いていこう。

もう繋がれていない手を、寂しいとは思わない。
手は繋ぐためだけにあるのではない。 二人して掴む為にもあるのだから・・・。


[あとがき]

「おデート編」アップでございます。o(^o^)o
 いいですね~、ラブラブですね~。(←死語)
 楽しい休暇を過ごしてくれたのなら、親として本望です。
 母親を差し置いて、何楽しんでんじゃ~とかは言いません。

 結構、今回の任務は、ロイにとっては気鬱な任務だったようです。
 怒鳴りたくもないのに、好きな人に怒鳴らなくてはいけないわ、
 自分以外との相手との時間を許容しなくちゃいけないわ。
 止めに、エドに手を上げるような事まで・・・。
 本来なら、そんな事、私が許しません!!
 最愛のエドさまに手を上げるなんて、あるまじき暴挙。
 が、そこで1番傷ついたのがロイなんで、情状酌量で許してやります。

 で、ここから先は18禁で。(そんなに凄くはならないですが・・・)
 色々、色々と悩んでるロイさんの嫉妬深さや、気苦労を暴露しながら、
 エドに甘えているロイさんがおりますので、
 もうこれ以上、情け無い姿は見たくねぇーって方は、ここまででSTOPでね。

 では、今更何ほざくんじゃーって言う豪胆な方だけ、レッツ ゴォー!!

 ↓ 


~ シーツの海の中で ~

深く重なった身体を、心地良さ気に揺れ動かす。
先ほどまでしっとりと汗ばんでいた肌も、今は大量に水滴を流している。

「こ・・こは、いい・・かい?」

抱え込んだ身体を、強く押しやってやると、艶っぽい嬌声が上がりそうになる。
上げそうになる声を必死でシーツに潜り込ませているエドワードが、
苦しそうに何度も頭を振る。
快感をやり過ごそうと、必死になっている姿が、更に煽るのだと、
エドワードはいくつも同様の時を過ごしても、わかろうとしない。

薄く涙を刷いた瞳が、縋るようにロイを見上げてくる。
この瞳で見られると、ロイは体中が痺れるような歓喜でざわめいて仕方が無い。
喘ぐように何度も開けられ閉じられしている唇からは、
吐き出す言葉を封じようと動いている舌が、出入りし、余りの淫猥さに
更に熱くなる下半身同様、胸の鼓動も早鐘を打ち鳴らす。

ロイは堪らず強引に顔を向かせると、後ろから激しい口付けを仕掛け、
先ほどからロイを煽って仕方ない紅い舌を追いかけ、締め上げる。
激しく絡めて、吸い上げると、息苦しさからか、エドワードが堪らず鼻声を鳴らす。
顔を背けようと、弱弱しく頭を振るのを許さずに、徐々に体勢を入れ替えては、
口付けを深くしていく。

「あっ、ああーっ」

体勢がグチャリと水音を立てて動くたびに、とうとう抑えきれ無くなった声が
漸く上げられてくる。
この瞬間が、ロイにとっては1番感じ入る時だ。
どこまでも我慢強いエドワードは、こういう時でも、その耐性を示して、
なかなか、声を聞かせてくれようとしない。
羞恥心も理性も脆くなって、それさえも耐え切れ無くなったときに、
堰を切ったようにあふれ出す嬌声を聞くとき、エドワードが快感に完全に囚われたのを教えてくれる。
一度越えると、今度はどこまでも快感に従順な彼が姿を顕してくる。

「どう・・だい、ここはいい?」

エドワードの中で弱い部分に、浅い刺激を与えてやる。
うんうんと頭を振って、頷いてみせるエドワードの瞳は、すでに堪え切れない涙で溢れかえっている。
焦らすようにゆっくりとすりあげていてやると、耐え切れ無くなったエドワードが
ゆっくりと腰を揺らしてくる。
中は、動きの悪いロイを責めるかのように、キュウキュウと閉め上げをきつくしてくる。
ロイは、引きずられそうになるのを必死で食い止める。
冗談なのではなく、本当に必死なのだ。 歯を食いしばり、流されそうになる刺激に
耐え続ける。 『これが無意識とはな・・・』
エドワード自体、全く意識しての動きではないのは、
朦朧としている彼の瞳を見ればわかる。
快感に囚われ、堕ちると、エドワードは恐ろしく貪欲にロイに喰いついてくる。
焦れれば自分から動いて強請り、望むものが与えられれば声だけでなく
体中で歓喜の歌を唄う。
今も、後ろからの体勢を完全に入れ替えると、待っていたように足が腰に絡んで引き寄せようとしてくる。

ロイは恐ろしい程の刺激に身震いして熱を僅かに散じると、
エドワードに懇願めいた睦言を囁く。

「エ・・ドワード、少し緩めて・・くれ。
 でないと・・動けない・・よ」

耳朶を嘗め上げながら、そう囁いてやるが、
駄々をこねるように、首を横に振り、被さる身体に必死に手を伸ばしてくる。
その姿が、余りにも愛惜しくて、ロイは限界を感じる。

愛しい者に、こんなにも真っ直ぐに強請られて、我慢し通せる男などいはしないだろう。
しかも相手は、こんなにも魅力的で、美しい生き物なのだ。
涙し苦悶に歪む表情さえロイを煽り、
どれだけ穢そうが、汚れること無いかのような白い肢体は、
ロイの体どころか、心まで雁字搦めに虜にしている。
高く上がる声を聞かせられると、ロイはどこまでも高揚する感情に振り回されるしかない。

必死に縋る相手に、雨のように口付けを降らせ、
ロイの動きが、急速にピッチを上げていく。

「ああーっ、あっあっあっ あっぁぁー」

断続に絶え間なく上がり続ける声に呼応するかのように、
ロイの動きも速くなっていく。

「は・・やくっー、もう、い・・・くぅー!」

エドワードの誘いに、ロイも頷くと、一緒にと願う心のまま
深く強く衝き入れる。

「くっ・・・!」
「あっああー!」

一際高い声を迸らせると、それぞれの高揚を混ぜ合いながら高みへと飛び出した。

エドワードの解放と同時に、果てたロイを更に搾り取るかのように蠢く中が、
下肢から脳天を突き上げるほどの快感を与えてくる。

「はっ・・・あっっぅ」

息を詰めて、その快感に浸り、幸福の絶頂を堪能する。
一足先に、エドワードは弛緩し始める体から送られる開放感に
身を委ねて、シーツに埋もれている。

ロイは、ハァハァと浅い息と、大量の汗を吹き上げながら、
自分の下で、意識をまどろみに預けているエドワードを眺める。
自分にこれほどの快感を投げ与えていると言うのに、エドワードには
その事はわかっていないのだ。
性的に幼かった彼が知っているのは、ロイとの関係だけだ。
だから、今ロイに与えている事が、どれ程凄いことなのかを、
彼が知る事も無いせいもある。

ロイは、薄く色づき、浅い息をして上気している胸に愛しそうに口付けを落とし、
汗で張り付いている髪を、優しく何度も梳ってやる。

「君には、骨抜きにされてるな・・・」

まだぼんやりとしているエドワードに、ロイは苦笑と共にそんな言葉を伝えるが、
理解はされてないだろう。

エドワードが意識を戻すまで、ロイは飽きるでなく、色づく身体に触れ、
気の向くままに口付けを落としては、色濃い印を付けていく。
普段、意識がある時にしようものなら、エドワードの怒りを買う行為なのだが、
今なら、気づかれずに心行くまで仕掛ける事が出来る。

暫くそうやって楽しんでいたが。

「・・・よせって・・・、跡はつけるなって言ってるだろ」

顔を押しやるように動かされ、吐かれた言葉に、エドワードが意識を戻したことが判る。

「別に構わないだろ? これから暫くは、家にいるんだし。
 寮に戻る前に、気をつければ十分じゃないか」

これ見よがしに、肩口に顔を伏せて、きつく吸い上げてやる。

「あっ・・つっ」

敏感になっている肢体が、即座に反応するのに気を良くしたロイが、
肩口から背中にかけて、ゆっくりと手の平でなで上げていく。

「まッ・・・待て、てば。 休憩・・休憩しよう、なっ?」

止めろとは言わないのは、言えばムキになり行動がエスカレートする恋人の性分を
しっかりと把握しているからだ。
強請るようにそう告げれば、渋々ながらも手の動きを止めて、
優しい抱擁に切り替わっていくのだ。

「喉は渇いてないかい?」

上機嫌に訊ねてくる言葉に、「乾いた」と言えば、
さっさと起き上がって、備え付けの冷蔵庫を物色しに行ってくれる。
情事の後、とにかくマメで甲斐甲斐しい相手に、最初は照れくさくて仕方なかったが、
今は慣れてきたのか、素直に願いを口にするようになった。
まぁ、自分の体が動きが悪く、相手が動けるからでもあるのだが。

飲ませようとしてくるのを見越して、さっさと起き上がって、
持ってきてくれたペットボトルの水を奪って、喉を潤す。
惜しそうに見ている事からも、自分が飲ませたかったのだろう。
グラスも持ってこずに、飲ませようとしていた方法など、
余り考えたくない。
自分用には、アルコール飲料を持ってきて美味しそうに飲んでいる。

それを見ていて、ふと思いついた事が口をつく。

「そう言えば、ロイはビールとかあんまり飲まないよな?」

「ビール? 別に飲まないわけじゃ・・・。
 ・・・誰か、ビールが好きな奴でもいたのか?」

ベットの端に腰をかけていたロイが、乗り上げて、エドワードの横に
同じように座ってくる。

「うん、この前デュラーさんとご飯を食べに行ったとき、
 ビールばかり飲んでたからさ。
 俺も、1杯だけ薦めて貰って飲んだんだけど、
 あんまり美味しいもんじゃないだろ?」

「さぁ・・・別に不味くはないと思うが。
 軍では普通飲むときにはビールが通常だし。
 アルコール度数も低いから、彼らには水の代わりくらいの者も多いだろうね」

「ふ~ん、水代わりか・・・凄いよなそれも」

エドワードはしきりに感心している様を見せている。
アルコールにそう強くない彼にしてみれば、度数が低いといえども
水の代わりに飲むと言う発想が信じられないのだろう。

「別にビールを飲むくらいの奴なんか、凄くもないだろ?
 私だって、もっと度数が高い物を飲んでるぞ」

ほらっと指し示す瓶には、確かに度数はビールより高そうだ。

「いや、別に度数の事を言ってるわけじゃあ・・・」

ロイの反応に、エドワードが目を白黒させている。
ロイは、持っていた瓶をベッドサイドに置くと、パフンとエドワードの足元に伏す。

「ど、どうしたんだよ?」

腰に手を回し、ゴロゴロと擦り寄る様子は、猫のようだ。

「嫌なんだよ、君が奴の話をするのが」

顔を伏せられ、くぐもった声で告げられた内容は、
エドワードを驚かせる。

「奴って・・・なんで?」

「何ででも」

そう返したきり、何も話そうとしないロイの様子に、エドワードも困ったように
黙り込む。
そして、暫くの沈黙の後に・・・。

「エドワード、デュラー副官の事をどう思った?」

と顔を上げないまま、ロイが聞いて来る。
さっきの流れとは違う事に戸惑いながらも、エドワードは素直に自分の意見を語る。

「そうだな、大将とか司令官って器じゃないかもしれないけど、
 状況を読むのにも、人の機微にも敏感だし、真面目で明るい性質だから、
 副官とか、中隊の指揮官には向いている思う・・・けど」

「そうか・・・君がそう言うなら、間違いないだろう」

そう返答をしたかと思うと、また、押し黙る。

「なぁ? どうかした? デュラーさん、どこかに配属になるのかよ?」

「・・・別に今すぐどこかに行かせる事を考えてるわけじゃない。
 適してるとしても、不足している経験を積んでも貰わないといけないしな。

 ・・・個人的には、君は彼の事をどうおもっているんだ?」

その質問には、更に当惑を生む。

「個人的にって・・・、そんなに付き合いが長くもないし・・・。
 でも、優しくて面倒見の良い、裏表無い良い人だと思うけど・・・」

そのエドワードの言葉に、カバリと頭だけもたげて、エドワードを見つめてくる。

「ロ、ロイ?」

その反応に当惑して、名を呼ぶ。
と、また伏せてしまう。

「・・・彼の事が好きなのか?」

と、次に告げられた言葉に、あんぐりと口を開けてしまう。

「好き・・・? 別に嫌うほど、何かないし・・・」

「私とどっちが!」

顔を上げ、むきになって聞いて来るロイの様子に、
漸くロイが今抱いている感情が、どうやら嫉妬とまではいかないが、
拗ねているのだと解った。

「ちょ、ちょお、何でそんなにムキになるんだよ」

思わず込上げる笑いを我慢する事もなく、エドワードは笑いながら
からかうように返事を濁す。

「別に構わないだろ。 どうなんだい? どっちが、好きなタイプなんだ?」

繰り返し聞いて来るロイのその様子に、さすがにエドワードもおかしいと気づく。
まさか、真剣にそんな事を聞いてきてるわけでは。無いだろう
真剣だったら、張り飛ばすしかないが。

「・・・なんで、そんな事聞いてくるんだ?」

「・・・理由なんて、別にいいだろ。 どっちがタイプかきいてるだけなんだから」

頑ななロイの態度に、エドワードの気質が刺激される。
元来エドワードは、短気で負けん気も強い。
下手に出る相手には弱いが、我侭や高慢な相手には頭を下げたく無くなるのだ。

「聞くなら理由を言う位、普通だろ。
 どうなわけ? 聞きたいの聞きたくないの?俺の好きなタイプを?」

ロイの必死さを逆手に、少々意地悪な切り替えしをしてやる。
そう告げると、ぐっと黙り込んだかと思うと、不承不承理由を話し出す。

「・・・今回は、私は君に怒鳴ってばかりだ・・った。
 慣れない職務を必死にこなしている君に、労いの言葉をかけてやるでもなく、
 逆に叱責したり・・・」

語り出したロイの話に、エドワードは茫然とする。

「で、でもそれは別に役職柄で・・・」

「だから余計嫌だったんだ。 同じ職場で働くとなると、どうしても厳しく自分を律しないと
 歯止めが利かなくなる。 だから、他の人間以上に厳しく突き放さないと、
 あっと言う間に、取り繕ってる関係が崩れてしまいそうで。

 なのに、デュラーは君に優しく接してるし・・・。
 夜は仲良く帰宅して、朝は二人っきりでじゃれあってて。
 私なんて、挙句の果てに君を叩くなんて事まで・・・。

 これでは、君に嫌がられても仕方ないじゃないか!
 そう思うと、もしかしたら、優しい奴の方がいいなんて思ってるんじゃないかと
 考えると、どんどん落ち込んでしまって・・・」

「で、聞いたんだ。 どっちが好みかって・・・」

エドワードは回されている手を引き離すと、しょげているロイの額を思いっきり叩いて、
突き倒す。

「馬鹿にすんなよ! あんたが好き好んで、俺を怒鳴りつけたり叩いたりしてることくらい、 
 わからない関係かよ、俺たちは!
 あんたが、俺の為に、デュラー副官の為に必死にしてくれた事は
 俺だけじゃなく、ちゃんとデュラー副官もわかってるさ。

 あんたも、あんま下らない事ばかり気にするんじゃない!
 そんな事を気にしてるような時間は、あんたには無いだろ」

突き倒されたままの姿勢で、ロイは憮然としながらエドワードの啖呵を聞いている。

「・・・そんな事は、解ってるんだよ、頭の中ではね。
 それでも、いう事を利かないのが、自分の感情なんだ。

 君に関しては、いつだって制御が出来なくなるばかりだ。
 自分の女々しさが嫌でしょうがないのに、物分り良いふりだけ続けて・・・」

エドワードは盛大なため息を付くと、愚かしさも極まる相手ににじり寄る。
仰向けに転がるロイの上に、エドワードは自分の身体を押し付けるように乗り上げる。
すぐさま回される腕が、ロイの戯言は別に本心の懸念なんかでは無い事を知らせているようだ。
それでも、と考える。
望まない役割を、自分の為に演じきってくれた相手に、
感謝しなくてはいけないのではないかと。
だから、最大の感謝の言葉を捧げる。

「よぉ~く聞けよ。 1回しか言わないからな。
 俺の好みのタイプは、優しい時も、厳しい時でも、
 ロイ・マスタング、そいつその者だって・・・な」

厳しいしかめっ面に、そう告げて口付けを贈ってやれば、
華開くように、微笑を咲かせる男に、『甘いよな、俺も』と
自嘲の笑みを浮かべる。

いつも自分の事に限定で情けなくなる男なのだ。
今回位の事で、目くじらを立てる程、付き合いは浅くない。
願わくば、外には知られないようにと祈るだけだ。

嬉しそうに口付けを返し、忙しなく動き回る手を感じながら、
長くなりそうな2ラウンド目の為に、気力を奮い立たす。
『ちょっと弱っててくれる方が、扱いやすいんだけどな・・・』
そんな事を思っているとも知らずに、ロイはエドワードからの賛辞に
全精力で返答を返す事を実行に移す。

答えを返し終わるまでに、どれ位の時間を要したのかは、
暗闇に閉ざされていく部屋だけが知っていた。





[あとがき]
はい、終わりました~。
もう笑うしかない、妄想突っ走りですね~。
この位、御馬鹿だと書くほうも気楽で楽しいやなっと。
余りのアホさ加減に、ダウンされた方もいるんじゃないでしょうか?
先に謝っておきます。
本編、ここまでデロ甘を書く機会もありませんので、
番外では思いっきり遊ばせて頂きました。
新春、自分へのお年玉です。
少しは、皆さまに笑って読んで頂けるように・・・。
笑う門には福来る・・・オチも宜しいようで。



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